ブログ放置の心得

友情
情で繋がる友なんて俺は要らねえ。なんてことを呟いていた時期が私にもありました。

新年を迎えてからあっという間の1ヶ月。積んでる本で読了したのはこの1冊のみ。
辻村深月さんの『ツナグ』です。
ツナグ (新潮文庫)

このタイトルにある、ツナグ(使者)は一生に一度だけ、死者との再開を叶えてくれるという人物。そのツナグに依頼した4名の話が中心になり物語は進んでいきます。

アイドルの心得・・・アイドルが心の支えだったOL
長男の心得・・・年老いた母に癌の告知が出来なかった息子
親友の心得・・・親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生
待ち人の心得・・・失踪した恋人を待ち続ける会社員

そして最後は、使者ツナグの心得で締めくくられています。
死をメインに扱う小説としては、全然お涙頂戴な内容ではないところと、なかなか表現の難しい人情の機微を感じることが出来る良い作品だと思いました。

死んでしまう方の死ぬ間際の後悔というよりは、どちらかというと残された者の後悔に焦点があったように思います。読了した後に、じんわりと深く心に残る作品で、どの章もそれぞれ心にくるポイントがあってなんとも言えない内容なのですが、私個人は最後のツナグ自身の物語が(作中では歩美という少年)特に好きです。

この本を一気読み(長い間積ん読していたけれど)した後、映画にもなっていたのを知っていたのでDVDも借りてきて、読了の熱が冷めないうちにこちらも鑑賞しました。

ツナグ

本を読んだ後だったので、この小説の数あるポイントのどこに焦点を合わせて映像化したのかにとても興味がありました。感想は、人それぞれ感じる部分が違うのでまぁこんなもんかな、と思いました。

小説と違い、細かな心の動きがあまり感じられなかったのはちょっと残念でした。ただ、最後に親友とお別れをした後にツナグから伝言を受け取った時の女子高生・嵐(橋本愛さん)の演技には圧倒されました。

観終わった後に、面白かったけどなんだかなぁ、個人的に大事だと思うところが削ぎ落とされていた気がするんだよねぇ。と使って欲しかったシーンを小説を見ていない彼に事細かく説明していたら、映画化するなら恋愛要素絡めた方が売れたりするから仕方ないんじゃないかなぁと言っていました。

そう、待ち人の心得に出てきたカップルの最後の別れの夜のシーンに随分と時間をかけていたのにちょっとモヤモヤしていたのはそういうことか、と腑に落ちました。
二度と会えない恋人同士の去り際なんて、誰でも(は言い過ぎだけど)泣かせられる描写だと思うので、もっとやり切れないシーン沢山あるでしょうにと思ってしまったんです。

映画でキラリがいつの間にか黒髪になっていた件も、会う直前になって怖気付いて逃げ出した彼をツナグが探し出すシーンもあんなに人の多いところですぐに見つけ出すの設定に無理ないかなぁ?と彼が不思議に思った部分も小説では本当に会わないつもりなら家に帰れば良いのにすぐに見つかるような場所に居る、というツナグの心情でしっかり補足してあるのですが、そう言った部分を映像で再現するのはとても難しいことだと感じました。

その中でも、このつなぎは秀逸だなぁと思ったのは映画では、アイドルの心得の章はカットされているのですが、途中、ツナグに演劇のチラシを渡すところと傘を渡すところは、おぉ!とてもうまくまとめたなぁと思いました。

どちらから観ても良いのですが、是非、小説と映画、両方、手に取ってもらいたい作品です。

maple169 について

極めて雑食を露呈
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